洗顔後に肌がつっぱる、入浴後に肌がカサつくなど、乾燥肌に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
乾燥肌はドライスキンとも呼ばれ、肌の水分と皮脂が不足し、うるおいがなくなっている状態を指します。
この記事では、肌が乾燥する原因を解説し、乾燥肌に適したスキンケアの方法やアイテムの選び方をご紹介します。乾燥肌のスキンケアに役立つポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
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肌が乾燥するおもな原因7つ
肌の乾燥は冬だけでなく、1年を通じて起こる肌トラブルの1つです。その原因には、さまざまな要因が関係しています。
私たちの肌には本来、外部の刺激から体を守る「バリア機能」が備わっています。
バリア機能とは、肌の表面にあるわずか0.02mmの角質層が持つ機能。肌内部の水分を保ちつつ、外部の異物から肌を守る役割があります。
このバリア機能は、肌に含まれる保湿成分に支えられています。つまり、乾燥肌はうるおいを失い、バリア機能が低下した状態だといえるでしょう。
ここでは、肌の乾燥を引き起こすおもな7つの要因について詳しく解説します。
1.ターンオーバーの乱れ
肌の水分量が減少したり、寒さで血行不良を起こしたりすると新陳代謝が悪くなり、肌の細胞が正常に生まれ変わる「ターンオーバー」のサイクルが滞ってしまいます。
ターンオーバーとは、約1カ月の周期で古い細胞が新しい細胞に入れ替わる、肌の自然な代謝プロセスのこと。
このターンオーバーが乱れると、肌表面の角層がうるおいを維持しにくい細胞で形成されてしまいます。その結果、バリア機能が低下して水分が蒸発しやすくなり、乾燥肌を引き起こす原因となります。
2.栄養不足
過度なダイエットや食生活の乱れなどで栄養が偏ることも、乾燥肌になる原因の1つ。
肌の主成分となるたんぱく質やビタミン類などは、肌のコンディションを維持するうえでの重要な要素です。
例えば、肌の弾力を保つコラーゲンはたんぱく質に含まれているため、たんぱく質が不足すると乾燥だけでなく、ほかの肌トラブルを引き起こす可能性も。
ビタミン類は肌にうるおいを与え、ターンオーバーを促す働きも期待できます。
また、摂りすぎは良くありませんが、脂質も適度に摂取しないと乾燥肌のリスクが高まるため注意が必要です。
食事制限をする場合でも、最低限必要な栄養素は摂取するよう意識しましょう。
3.間違った洗顔やスキンケア
メイク落としや洗顔の際に洗浄力の強いクレンジングや洗顔料を使うと、肌に負担をかけてしまい、バリア機能が低下することがあります。
また、洗いすぎやナイロンタオルなどでゴシゴシとこする洗い方は、肌表面の角層を傷つけることにつながり、水分の蒸発をまねくことも。
さらに、熱いお湯で顔を洗うことにも注意が必要です。必要な皮脂も取り除いて肌の保湿力が低下し、結果的に乾燥肌を引き起こす原因となります。適切な洗顔方法を心がけ、肌の健康を守りましょう。
4.生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは、乾燥肌の原因となることがあります。
ストレスや睡眠不足などの生活習慣の乱れが続くと、ホルモンバランスや自律神経に悪影響をおよぼす可能性も。ホルモンバランスや自律神経の乱れは、体の新陳代謝を低下させたり、肌の角質を厚くしたりする問題につながります。
さらに、生活習慣の乱れは肌のターンオーバーの異常を引き起こす要因となり、肌が乾燥しやすい状態になるため注意が必要です。
5.紫外線など外的要因
紫外線は、肌に直接ダメージを与えてバリア機能の低下を引き起こすため、乾燥肌の原因となります。
特に、波長の長い紫外線A波(UVA)は肌の表面の角層を通過して、真皮にまで到達。これにより、肌のハリ・うるおいを維持するエラスチンやコラーゲンが破壊され、乾燥だけではなく、シワやたるみなどの老化現象にもつながるおそれがあります。
紫外線は年中降り注いでおり、シミやそばかすを発生させる原因にもなります。肌にさまざまな影響をおよぼすので、紫外線対策は欠かせないケアの1つです。
6.生まれつきの肌質
生まれつき肌が敏感な人は、わずかな刺激でも乾燥につながってしまう場合があります。特に、皮膚が薄い人や皮脂の分泌が少ない人は注意が必要です。
また、乾燥肌は遺伝の影響で起こることも。例えば、家族に乾燥肌の人がいる場合、その遺伝によって自分も乾燥肌になっている可能性が考えられるでしょう。
ただし、乾燥肌は遺伝だけが原因なのではなく、後天的な要因もかかわっています。環境や生活習慣などのさまざまな要因が重なって、乾燥肌になることもあります。
7.加齢
個人差はありますが、加齢による肌の変化は避けられず、年齢を重ねるとともにバリア機能を維持するための成分の分泌が減少します。また、ターンオーバーも加齢とともに乱れがちに。
肌の水分量は生まれたときが最も多く、年齢とともに減少していくのが一般的です。皮脂の分泌量も30代を境に減少し、更年期を過ぎると急激に減少します。
これらの要因が重なり、年齢とともに肌が乾燥しやすくなるのです。
乾燥肌に適したスキンケア方法
乾燥肌の改善には、適切なスキンケアが大切です。
ここでは、乾燥肌に効果的なスキンケア方法を具体的に解説します。
まず前提として、押さえておきたいポイントがあります。
それは、どんなに乾燥が気になったとしても、製品の使用方法や用量を守らなければ、本来期待される効果が得られないこともある点です。
むしろ、肌のバリア機能が十分に働かなくなり、さらなる皮膚トラブルを引き起こす可能性も。使用量を守らないと、肌の乾燥が改善しなかったり、毛穴づまりなどのトラブルにつながったりすることもあるので注意しましょう。
クレンジング:なでるように優しく
まず、クレンジングの前には手を十分に洗うことが大切です。清潔ではない手でクレンジングをすると、刺激物や雑菌によって肌に負担がかかってしまいます。
クレンジング剤を使う際は、肌をこするのではなく「なでる」ように優しくメイクとクレンジング剤をなじませます。
手を肌に押し当てず、円を描くような動きで、時間をかけ過ぎずになじませるのがコツ。クレンジング剤を肌になじませる時間は、1分程度が目安です。
クレンジング剤は肌への刺激が大きいため、塗布する時間が長すぎると必要以上に皮脂を落としてしまい、乾燥肌の原因になります。
メイクが落ちていないように見えても、クレンジング剤がしっかりなじんでいればすすぎで簡単に落とすことができるので、無理にこすらないようにしましょう。
また、すすぎは必ずぬるま湯で洗い流すことが重要です。先ほど説明したように、熱いお湯は必要な皮脂まで流してしまうので避けましょう。
洗顔方法:しっかり泡立て肌にのせる
洗顔も乾燥肌ケアの重要なステップです。
まず、ぬるま湯で顔全体を予洗いして、顔の表面を濡らしておきましょう。こうすることで、洗顔料に含まれている界面活性剤が肌につきにくい状態になり、刺激を抑えられます。
洗顔料は手や泡立てネットでしっかりと泡立ててから、肌にのせます。泡立てが不十分だと肌に摩擦を与えることになるので、よく泡立ててきめ細かい泡を作ることが大切です。
その後、泡のクッション性を利用して、優しく円を描きながら洗いましょう。特に目もとや口もとなどのデリケートな部分は、泡をあてる程度で十分。
すすぐ際も必ずぬるま湯を使って、泡が肌に残らないようにしっかりと洗い流しましょう。
フェイスラインや小鼻の周りなどは特に泡が残りやすいので、丁寧にすすぐことがポイントです。
保湿ケア:水分を逃がさないように
洗顔後は、すぐに保湿ケアをすることが乾燥対策の基本です。洗顔後の肌は水分を失いやすく、そのまま放置すると乾燥が進行することに。
保湿ケアではまず、失われた水分を補うために化粧水を使い、そのあとに乳液やクリームなどの油分でふたをして、水分を逃がさないようにします。使用するアイテムは低刺激のものを選ぶのがよいでしょう。
適切にケアしなければ保湿効果が不十分になり、肌の乾燥を防げないこともあります。また、乾燥肌の人はスペシャルケアとして、保湿クリームなどを使用するのもよいでしょう。
【肌の乾燥が気になるときのスペシャルケア】
冬場や乾燥が特に気になる際は、シートマスクを週2回以上使い、重いテクスチャーのクリームで肌にしっかりとふたをするのがおすすめ。乾燥肌が進行しているときは肌のバリア機能が低下しているため、クリームで補うと効果的です。
また、シートマスクは基本的に5~10分程度を目安に使用しましょう。それ以上つけてしまうとシートマスクが乾き、逆にシートマスクに肌の水分を吸収されてしまう可能性があります。
乾燥肌向け|スキンケアアイテムの選び方
ひとくちにスキンケアといっても、そのアイテムはさまざま。
ここでは、乾燥肌向けのスキンケアアイテムの選び方について、アイテムごとに詳しく解説します。
クレンジング:洗浄力が優しいものを
クレンジングはメイクや汚れを落とすことが目的のアイテムなので、洗浄力の強いものがあります。
乾燥肌の人の場合は、洗浄力が優しいミルクやジェル、クリームタイプのクレンジングを選ぶとよいでしょう。特に、保湿成分が含まれているものがおすすめ。
また、拭き取りタイプやオイルタイプのクレンジングは、使用方法に工夫が必要です。例えば、ポイントメイク専用に使ったり、オイルタイプは短時間でメイクを落とすよう意識したりしましょう。
クレンジングについてはこちらの記事でも紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
洗顔:洗浄力が強いものは避けて
クレンジングと同様に、乾燥肌には洗浄力が強すぎるタイプの洗顔料は使用しないほうがベターです。特に、スクラブや酵素洗顔などは肌への刺激となるため、乾燥が気になるときは使用を控えましょう。
乾燥肌ケアには、スクワランやセラミド、ヒアルロン酸などの保湿成分が含まれた洗顔料を選ぶのがポイントです。また、エタノールや香料が使われていない低刺激タイプもおすすめ。
フォームタイプの洗顔料では、しっかり泡立つものを選ぶと摩擦による肌への負担を軽減できます。
以下の記事では洗顔料についても解説しています。こちらも併せてご覧ください。
保湿スキンケア:セラミドやアミノ酸入りがおすすめ
乾燥肌に適した保湿スキンケアアイテムとしては、セラミドやアミノ酸などの保湿成分が入っている化粧水や乳液を選ぶのがおすすめ。
テクスチャーは自分の好みで選ぶと、使い心地などにも満足しやすいでしょう。とろみのあるものは保湿力が高い、サラサラしたものは保湿力が低いと感じるかもしれませんが、実際にはテクスチャーはそれほど関係なく、肌なじみが重要です。
より理想的な肌を目指すのであれば、美容液での集中ケアも取り入れてみましょう。化粧水は水分の補給、美容液はエイジングケアなど、目的に応じたアイテムを選ぶことで、自分の理想とする肌を目指せます。
ただし、乾燥肌の人は、美容液を選ぶ際にも肌への刺激が少ないアイテムを選ぶことが大切です。
香料、防腐剤、アルコールが含まれていない低刺激タイプを選びましょう。
試供品で試してから購入するのも方法の1つ。また、美容液を使用する際は、蒸発を防ぐために乳液やクリームで肌にふたをするとより効果的です。
乾燥肌におすすめのセラミド化粧水については、こちらの記事で詳しく解説しています。
乾燥肌の人は食生活も含め生活習慣を整えることも重要
乾燥肌対策には、化粧水や保湿クリームなどのスキンケアだけでなく、生活習慣を整えることも欠かせません。
必要な量の水分補給、適度な運動、バランスの整った食事、質の良い睡眠、そして入浴などが大切。
乾燥肌になりやすい人は、冷え性や血行不良、便秘といった症状が見られることも多く、生活習慣を見直すことでこれらの症状にも良い効果が期待できます。
【水分の摂取目安量(一日あたり)】
- 1日に飲む水の量:およそ1.2リットル
- 飲み方のポイント:コップ1杯程度の量をこまめに飲む
【日常生活に取り入れたい動作・運動】
- 動作:階段を使う、一駅分を歩くなど
- 運動:有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)、ストレッチ、筋トレ
【質の良い睡眠をとるためのポイント】
- 規則正しい生活を送り、体内時計を整える
- 遅い時間のカフェイン・アルコールの摂取を控える
- 就寝前にパソコンやスマートフォンを使わないようにする
【乾燥肌・冷えが気になる人におすすめの入浴法】
- お湯の温度:38~40℃程度のぬるめ
- 入浴時間:15~20分(長時間の入浴は肌が乾燥しやすくなるため注意)
すこやかな肌を目指すためには、以下の栄養素を積極的に取り入れるとよいでしょう。
【すこやかな肌を作るためにおすすめの栄養素】
- たんぱく質:筋肉や皮膚、血液などの材料になる
- ビタミンA:皮膚や粘膜を健康な状態に維持する際に役立つ
- ビタミンB群:新陳代謝の促進、皮膚のターンオーバーのめぐりを改善
- ビタミンC:コラーゲンの生成にかかわる
- ビタミンE:抗酸化作用がある
- 亜鉛:皮膚のターンオーバーを促す酵素を作る
- 食物繊維:腸内環境を整える
- 必須脂肪酸:乾燥対策に不可欠な皮脂のもととなる
また日常生活では、紫外線対策や部屋の加湿なども取り入れることで、より効果的な乾燥肌対策ができます。
乾燥肌に適したスキンケアや生活習慣を意識することによってコンディションを整えよう
乾燥肌対策をする際には、適切なスキンケアと生活習慣の見直しをしましょう。
クレンジングや洗顔では肌を優しく扱い、摩擦を避けることが大切。洗顔後は、すぐに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで密閉して保湿ケアをします。
そして、スキンケアアイテムは低刺激で保湿成分が豊富なものを選びましょう。
また肌の健康には、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動なども必要です。
これらのポイントを参考に、すこやかでうるおいのある肌を目指しましょう。